逐次通訳 vs 同時通訳

逐次通訳 vs 同時通訳

アメリカでの商談やイベントなどで通訳の手配をお考えでしょうか?
通訳を最も効果的に活用するためにはそれぞれのビジネスの場面に応じた適切な通訳の使い方をする必要があります。
この記事では、通訳の種類と各ビジネスの場面に応じた最適な通訳の使い方についてご紹介いたします。

「逐次通訳」とは

「逐次」とは「順を追って、順番どおり次々と」という意味のとおり、話者が話した言葉を追いかける形で順次訳していく通訳の手法です。従って、話者は話を区切り、通訳者は自分の記憶とメモを駆使し話者の話した内容を「逐次」正確に訳していきます。上級の通訳者であれば、言葉をそのまま訳すだけでなく、話者が伝えたいニュアンスまで訳文に盛り込めむことが可能です。込み入った商談や難しい交渉など、訳文の精度や微妙なニュアンスの伝わり方が重要な場面では逐次通訳をお勧めいたします。
逐次通訳の場合、全ての文章を二回繰り返すため会話の時間は原則二倍掛かりますが、正確な情報伝達や商談の成立が目標である場面では最良の通訳手法です。

「同時通訳」とは

言葉のとおり、話者の話を聞きながら通訳者が同時に訳していきます。英語を聞きながら同時にその内容を日本で話すか、またはその逆です。「どういう頭の構造になっているの?」と良く言われます。確かに大変な集中力を要する作業です。なので、通常は2人〜3人の通訳チームで仕事を担当し、10分〜15分単位で通訳者が順番に交代しながら通訳を行います。
また、話者と同時に通訳者も喋るので同じ部屋で同じ声量で話したのでは声が重なって何も聞き取れなくなってしまいます。そこで同時通訳用の通信機器を使用します。通訳者が無線送信機に話すとその音声が聴衆の受信機を介してヘッドホンで聞ける仕組みです。国連などの国際会議で参加者がイアホンを着けているのと同じ仕組みです。
大きな会議では国連のように専用通訳ブースを設置して通訳者はその中で話者のスピーチを専用のヘッドホンで聞きながら通訳用のマイクに通訳音声を流します。
小規模の会議では、ブースは設けず通訳者が携帯型の送信機を使い会議室の片隅で小声で携帯マイクに話す形式になります。工場見学など施設内を移動しながらの説明を通訳する際も同様、携帯機材を使っての同時通訳が可能です。

では、同時通訳のメリットとデメリットは何でしょうか。
まず明らかなメリットは通訳が話者のプレゼンと同時に進行するので通訳の時間を別に取る必要がないことです。これは決められた時間割で会議を進行する必要があるときは必須です。また、英語が主要言語の会議で少数の外国人が混じる場合、当然各言語の通訳のために一々スピーチを中断して各言語の通訳を入れることができませんので、同時通訳が必須になります。大きな国際会議では日本語、中国語、韓国語などの通訳ブースが並ぶことも珍しくありません。会議の主催者側で同時通訳を手配していない場合は参加者が各自通訳を手配する必要が出てきます。その場合は、上記の携帯型通信機を使用して通訳が部屋の後方など周りの聴衆の迷惑にならないところで通訳を行い、お客様がそれぞれ携帯レシーバで席でお聞きになる形式になります。送信機の電波が届く範囲内(数十メートル)であればレシーバーの数に上限はないので、数十名が同時に通訳音声を聞いていただくことも可能です。

同時通訳のデメリットは、逐次通訳ほどの精度や細かなニュアンスの伝達が難しいことでしょう。やはり、通訳時間の節約や多言語環境での利便性を主眼に置いた通訳方式ですので、どうしても通訳の精度は多少犠牲になります。通訳者はすぐに適切な訳語が考えつかない場合、逐次通訳なら考えながら言葉を選べますが、同時通訳の場合はどんどん話が進んでしまいますのでその余裕はありません。
また、同時通訳は基本的に一方通行のコミュニケーション用であるとお考えください。例えば、プレゼンテーションを一方的に聴く、トレーニングなどの講義を受ける、工場見学で案内の説明を受けるなどのケースです。商談や交渉など双方向のコミュニケーションには向きません。
Q&Aなど限定的な双方向コミュニケーションであればできないことはありませんが、その場合は通訳者が日→英、英→日の双方向の同時通訳ができる人であることが前提です。また、レシーバーも日本語を聴く人と英語を聴く人全員の分が必要になります。多くの場合、プレゼン部分は同時通訳で行い、Q&Aの部分は逐次通訳での対応をお勧めしています。
費用的にも同時通訳は逐次通訳に比べて高くなります。通訳者を最低二人要しますし、通訳機材も使用料が発生します。ただし、同時通訳が必要な場面は逐次通訳では対応が不可能か極めて困難なケースが多く、特殊な技能と特殊な機材を使うことで初めて通訳が提供可能であることをご理解いただければ幸いです。

通訳の種類による推奨活用法まとめ

 

通訳の種類 利用目的・特徴 推奨される活用例
逐次通訳

利用目的・特徴

  • 相互に説明や意見交換
  • 込み入った説明や微妙なニュアンスを含む議論
  • 図表なども駆使し納得するまで議論
  • 議論のスピードより正確性や品質が重要
  • 相手との信頼関係の確立も重要な目的

推奨される活用例

  • 挨拶、商談、交渉、面接など双方向のコミュニケーションの場
  • 展示会出展や訪問など不特定多数の企業や個人との個別商談や接渉
同時通訳

利用目的・特徴

  • 大局的な話の流れを理解することが目的
  • 英語が主要言語だが聴衆の一部は通訳を要する
  • 込み入った内容や微妙なニュアンスの伝達は期待されない
  • 決められたスケジュールでの進行が必須
  • Q&Aは逐次で対応

推奨される活用例

  • 国際会議など他の聴衆に混じって英語プレゼン聴講
  • 企業視察、施設見学など企業を訪問し英語で説明を受ける(時間が限られている)
  • 研修、トレーニングなど他の参加者に混じっての英語での受講
  • 日本人のみを対象にした小グループの講義で活発なQ&Aが想定される場合は逐次がベター

Web会議・ビデオ会議でのリモート通訳は逐次通訳?同時通訳?

Web会議やビデオ会議など参加者が遠隔で参加し、通訳者も遠隔で参加して会議を行うケースが増えています。

従来の遠隔会議システムでは二人以上の参加者が同時に発言すると声が重なってしまい、誰も聞き取れなくなってしまう問題があり同時通訳は技術的に不可能でした。しかし、最近はこの問題を解決した同時通訳用の会議システムが台頭していますので、技術的には同時通訳でも逐次通訳でもリモート通訳が可能になりました。
(リモート同時通訳システムの詳しいご説明はこちら>

では、リモート通訳を使う場面では、同時通訳と逐次通訳のどちらを使うべきなのでしょうか? その判断基準は上の表にまとめた従来の対面通訳での判断基準と同じです。

逐次通訳がベスト:込み入った説明や微妙なニュアンスを誤解なく理解し合うことが目的の商談や交渉など
同時通訳がベスト:決められた時間内で大局的な話を大勢の人に一方的に伝えることが目的のプレゼンやウェビナーなど

 

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