インバウンド・マーケティングのすすめ(海外旅行客誘致ではありません!)
日本で「インバウンド・マーケティング」と聞くと海外の旅行者を日本に誘致する旅行観光業をイメージする方が多いと思います。確かに日本ではその意味で使われることが多いのですが、これはどちらかと言うと「和製英語」です。 英語で観光業や旅行客誘致の営業施策はTourism Marketingであり、そのターゲットが海外の旅行者なら、Tourism Marketing targeting foreignersとなります。
では、“Inbound Marketing”と言った場合、何を意味するかと言えば、”Outbound Marketing” と対比する形で使われる立派なマーケティングの手法を指します。
主にインターネットでGoogleなどの検索エンジンの普及と共に注目されるようになったマーケティング手法です。今の購入者(B2CでもB2Bでも)はモノやサービスの購入を検討する際、最初にGoogleなどで情報収集を行い、対象となる候補を比較検討し、対象を絞った上で初めて購入に向けて店舗を訪れたり販売業者に連絡を取るなどのアクションを起こします。また、IT技術の進歩でインターネット上での個人の行動を追跡できる技術が向上し、販売する側もお客様の購買行動に合わせて適切な情報提供機会や購入のきっかけを設けることが可能になってきました。
つまり、購入者が自分のペースで調査・検討を進める中で販売する側が如何に自社の情報をインターネット上で見つけてもらい、比較検討段階で選んでもらい、自社に向けて「インバウンド」に、あるいは Pull 型で、徐々に見込み客を引き寄せてくるかを戦略的に考えるマーケティング手法なのです。
アウトバウンド・マーケティング
インバウンドに対し、アウトバウンドとは伝統的なPush型の営業やPR活動を指します。市場の潜在顧客の購入意図の有無に関わらずTVや新聞などのマスコミ広告を流したり、無差別大量の戸別飛び込みセールスや電話セールスなどを行う手法です。成功率は非常に低いですが、「数撃ちゃ当たる」式に行う「昔ながら」の営業スタイルです。
今こそインバウンド・マーケティングでピンチをチャンスに!
もうお察しだと思いますが、人と接することを極力減らすことが推奨されるWith Corona、After Coronaの世界では、購入意思を持った有望な見込み客に自ら手を上げてもらい、こちらにアプローチしてもらうインバウンド・マーケティングは社会的にも望まれる営業スタイルであり、経済的にもアウトバウンドよりも遥かに費用対効果が高いはずです。特に、B2B事業における海外市場の開拓を考えると、ウェブ・サイトやブログ・サイト上で自社のターゲット顧客層が検索していそうな付加価値の高い情報を発信することで世界中の潜在顧客を効率的に引き寄せるインバウンド・マーケティングはこの上なく効率的なグローバル・マーケティング手法であると言えるでしょう。海外出張が思うようにできず、従来のアウトバウンドの海外営業が困難な今こそ、インバウンド・マーケティングを有効に活かすことで競合他社に大きな差を付けるチャンスではないでしょうか。